お客様から「屋根から何か落ちてきたので、見てほしい」とご相談を受け、現地にお伺いし調査した所、屋根のてっぺん部にある瓦(棟瓦)がズレていました。のし瓦が一部欠けていたことと、棟瓦のお尻の部分にあたる棟尻の漆喰が剥がれていました。
「何か」とは、のし瓦の欠片か、棟尻の漆喰部分であることがわかりました。
今回はお客様からのご要望で、のし瓦を5段から2段へ減らし、棟瓦の積み直し工事で施工させていただきました。
ここで、棟瓦の修繕方法は3パターンあるのでご紹介いたします。
今回行う「積み直し工事」は、既存の瓦屋根の棟部分を一度解体し、1から新しくまた瓦を積み直して修繕を行う施工方法になります。
施工メリットとしては、既存の瓦を使用するので費用は安く抑えられます。
施工デメリットとしては、2024年に発生した能登半島地震のような強い地震があった場合、今回同様、棟瓦やのし瓦が崩れ、雨漏り被害の1番の原因となりやすい恐れがあります。
他には「積み替え工事」は、積み直し工事と途中まで同じで、既存の瓦を使用せず、新しい瓦を使用する施工になります。
施工メリットは、新品の瓦を使用するので、変形などは少なく綺麗になります。
施工デメリットは、新品の瓦を用意するため、積み直し工事より費用は割高になります。
最後に「耐震ハイロール工法」があります。耐震ハイロール工法とは、福島県や熊本県など過去に大きな地震の被害に遭われた際に、話題になった瓦の施工方法です。漆喰を使用せず、棟瓦を積む新しい工法で、耐久性・通気性に優れています。漆喰を使用した場合、経年劣化などのひび割れが生じる可能性が高いですが、この工法はその心配が一切ありません。
施工メリットとしては乾式工法なので、漆喰を使用しない事と熨斗瓦(のし瓦)を使用しないため、屋根にかかる重量の軽減になります。また、金具で棟瓦を固定するため地震で家が揺れても棟瓦が崩れる心配がありません。
施工デメリットは、既存の棟瓦が使用できなくなる事と新しい瓦が必要になるため、瓦と乾式面戸シートの代金が発生してしまう事で、どうしても湿式工法(積み直し工事)よりも費用がかかってしまいます。
施工後は、屋根の上から何か落ちてきたのに気づけて良かった、丁寧な仕事をしてくれてありがとう。と安堵のお言葉をいただきました。