北陸の冬に注意したいのが、屋根に積もった雪の落下です。
屋根から雪が一気に滑り落ちると、人や車、カーポート、隣家の外壁などに被害を与えるおそれがあります。
また、軒先へ雪の荷重が集中すると、雨樋の変形や破損につながることもあります。
このような屋根からの落雪を抑えるために開発された製品が、落雪防止ネットの「ゆきもちくん」です。
この記事ではゆきもちくんの仕組み、メリット、種類、設置前に知っておきたい注意点をメーカー公式情報に基づいて解説します。

画像引用:「ゆきもちくん」公式サイト
ゆきもちくんとは?
ゆきもちくんは、屋根の軒先付近へ専用の金網を取り付け、屋根雪が一気に滑り落ちるのを抑える落雪防止製品です。
一般的な雪止め瓦や雪止め金具は、軒先から少し棟側へ上がった位置に取り付けます。そのため、雪止めより下に積もった雪は、軒先から落ちる可能性があります。
ゆきもちくんは、軒先から直近の雪止め瓦・雪止め金具までの間に設置し、従来の雪止めではカバーしにくい軒先部分の落雪を防ぐことを目的としています。
メーカー公式サイトでは、日本瓦、洋瓦、カラーベスト、鋼板屋根など、さまざまな屋根へ取り付けられると説明されています。
ゆきもちくんが落雪を抑える仕組み
ゆきもちくんは、細かく厚みのあるネットを屋根面に設置します。
降り積もった雪がネットへ食い込むことで、屋根面と雪の間に摩擦が生まれます。
この摩擦によって雪が屋根面を滑りにくくなり、軒先からまとまって落下するのを抑える仕組みです。
単に雪を金具で受け止めるのではなく、ネットと雪をかみ合わせて屋根面に保持する点が大きな特徴です。

画像引用:ゆきもちくん公式「製品の特長」
ゆきもちくんの設置前後
メーカー公式サイトでは、ゆきもちくんを設置していない状態と、設置後に降雪した状態の比較写真が公開されています。
設置前

設置後

設置後の降雪

画像引用:ゆきもちくん公式「設置前後の比較」
設置後の写真では、屋根雪が軒先から落下せず、屋根面に保持されている様子を確認できます。
ただし、積雪量、雪質、屋根勾配、屋根材、気温、風向きなどによって効果や雪の状態は異なります。
ゆきもちくんの主なメリット
1.屋根からの落雪事故を防ぎやすい
屋根からの落雪は、人や車、植栽、設備などへ被害を与える可能性があります。
特に次のような場所では、落雪対策の必要性が高くなります。
- 玄関や通路の上
- 駐車場・カーポートの上
- 道路や歩道に面した屋根
- 隣家との距離が近い住宅
- エアコン室外機や給湯器の上
- サンルームやテラス屋根の上
- 店舗や施設の出入口付近
ゆきもちくんを設置することで、軒先から雪がまとまって落ちるリスクの軽減が期待できます。
2.雨樋の破損対策になる
屋根雪が軒先へ移動すると、雪や氷が雨樋を押し、変形・脱落させることがあります。
ゆきもちくんは、軒先部分の雪をネット上に保持する仕組みです。
落雪や雪の移動を抑えることで、雨樋へ雪が衝突するリスクの軽減にもつながります。
ただし、積雪荷重そのものがなくなるわけではありません。
設置方法や屋根形状によっては、雨樋との位置関係を十分に確認する必要があります。
3.さまざまな屋根材に対応できる
公式サイトでは、次のような屋根への取り付けに対応すると案内されています。
- 日本瓦
- 洋瓦
- 平板瓦
- カラーベスト・化粧スレート
- 鋼板屋根
- 金属横葺き屋根
- 折板屋根
- 波板屋根
ただし、屋根材の形状、屋根勾配、下地の状態、既存雪止めの位置によって、使用する製品や固定方法が異なります。
※すべての住宅へ同じ方法で取り付けられるわけではないため、施工前の現地調査が必要です。
4.屋根色に合わせて選べる
ゆきもちくんには、屋根の外観に合わせやすいカラーバリエーションがあります。
公式サイトに掲載されている基本色は次の5色です。
- ダークブラウン
- ダークレッド
- ダークグリーン
- ブラック
- グレー
屋根材に近い色を選ぶことで、雪止めネットが目立ちにくく、住宅の外観を保ちやすくなります。
ただし、製品によっては選べる色が限られています。
例えば、公式サイトでは「ゆきもちくんS-200」など一部製品はブラックのみと案内されています。
5.耐久性に配慮した国内生産品
メーカー公式サイトによると、ゆきもちくんは製造工程のすべてを国内で行っています。
ネットには20mm目の菱形金網を使用し、線材には亜鉛・アルミニウム合金めっき鉄線、または亜鉛めっき鉄線へ焼付塗装を施した材料が使われています。
メーカーは、強度・耐久性・耐食性に配慮した特注線材であると説明しています。
ゆきもちくんの主な種類
屋根材、屋根勾配、積雪条件、太陽光パネルの有無によって、適した製品が異なります。
| 製品 | 主な特徴・用途 |
|---|---|
| ゆきもちくん | 軒先から雪止め金具までに設置する標準タイプ |
| スーパーリング | 屋根中段に設置し、上部の雪が一度に軒先へ移動するのを抑える |
| スーパーゆきもちくん | スレート、鋼板横葺き、平板瓦など凹凸の少ない屋根に適したタイプ |
| ゆきもちくんS-90 | 金網にスーパーリングを組み込んだ強力タイプ |
| ゆきもちくんデルタ | 軒先部分に三角形状のストッパーを設けたタイプ |
| ゆきもちくんS-140・S-200 | 太陽光パネルが設置された屋根向け |
| スーパーデルタ | 太陽光パネルから滑り落ちる雪を受け止める製品 |
| コーニスカット | 軒先からせり出す雪への対策製品 |
標準タイプ「ゆきもちくん」
最も標準的な製品です。
軒先から雪止め瓦・雪止め金具までの間へ専用ネットを取り付け、軒先部分に積もった雪を落ちにくくします。
スーパーリング
屋根の中段に設置し、棟側に積もった雪が一度に軒先方向へ移動するのを抑える製品です。
単独でも使用できますが、ゆきもちくんシリーズと組み合わせることで、屋根上部から雪が押してくる力への対策を強化します。
スーパーゆきもちくん
スレート屋根、鋼板横葺き屋根、平板瓦など、表面の凹凸が比較的少ない屋根に適した製品です。
メーカー公式サイトでは、ゆきもちくんとコイルを組み合わせることで、屋根と積雪の間に空間をつくり、雪を固定しやすくすると説明されています。
太陽光パネル向け製品
太陽光パネルの表面は滑りやすく、パネル上の雪がまとまって落下することがあります。
「ゆきもちくんS-140・S-200」や「スーパーデルタ」は、太陽光パネルが設置された屋根の落雪対策として用意された製品です。
ただし、パネルの配置、軒先までの距離、屋根勾配、固定方法によって施工可否が変わります。
一般的な雪止め金具との違い
| 比較項目 | 一般的な雪止め金具 | ゆきもちくん |
|---|---|---|
| 形状 | 金具や雪止め瓦 | ネット状の金網 |
| 主な設置位置 | 軒先より少し棟側 | 軒先から直近の雪止めまで |
| 雪を止める仕組み | 金具で雪を受け止める | ネットに雪をかみ込ませ摩擦をつくる |
| 軒先部分への対応 | 金具より下の雪が落ちる場合がある | 軒先部分の落雪を抑えやすい |
| 外観 | 金具が部分的に見える | 屋根色に近いネットを選べる |
| 適用判断 | 屋根材に適した金具を選定 | 屋根材・勾配・積雪条件に応じ製品を選定 |
どちらが優れているというより、屋根形状と落雪リスクに応じて使い分けます。
既存の雪止め金具だけでは軒先部分の落雪を防ぎきれない場合に、ゆきもちくんを組み合わせる方法が有効です。
ゆきもちくんをおすすめしたい住宅
次のような住宅では、設置を検討する価値があります。
- 屋根雪が玄関や通路へ落ちる
- 隣家との距離が近い
- 屋根の下に車やカーポートがある
- 雨樋が雪で何度も破損している
- 既存の雪止め金具より下から雪が落ちる
- 金属屋根から雪が一気に滑り落ちる
- 太陽光パネルからの落雪が心配
- 店舗・アパートなど、人の出入りが多い
- 過去に落雪による被害があった
北陸では、湿り気を含んだ重い雪が降ることがあります。
屋根から落下する雪の量が少なく見えても、固まった雪や氷は大きな衝撃を与えるため、落雪位置を事前に確認しておくことが重要です。
設置前に知っておきたい注意点
落雪を完全に防ぐとは限らない
ゆきもちくんは落雪リスクを軽減する製品ですが、あらゆる気象条件で落雪を完全に防ぐことを保証するものではありません。
積雪量、雪質、屋根勾配、強風、気温変化などによって、雪が移動したり、一部が落下したりする可能性があります。
製品を設置した後も、軒下へ不用意に入らないなどの安全対策が必要です。
雪庇の発生は防げない
メーカー公式サイトでは、風によって軒先から雪がせり出す「雪庇」は避けられないと説明されています。
ゆきもちくんで止められた雪へ、風で運ばれた雪が付着し、軒先から張り出す場合があります。
屋根上の積雪荷重はなくならない
落雪を抑えるということは、屋根上に雪を保持することでもあります。
そのため、積雪荷重自体を軽くする製品ではありません。想定を超える積雪がある場合は、建物の状態や安全性を考慮し、専門業者による雪下ろしが必要になることもあります。
屋根材と下地の確認が必要
屋根材が割れている、錆びている、下地が腐食している場合は、そのまま取り付けると屋根を傷める可能性があります。
施工前には次の項目を確認します。
- 屋根材の種類
- 屋根勾配
- 屋根の流れ寸法
- 既存雪止めの位置
- 屋根材の割れ・錆
- 下地の強度
- 雨樋との距離
- 太陽光パネルの配置
- 落雪先の状況
専門業者による取り付けが必要
屋根上での作業には転落事故の危険があります。
また、誤った位置や方法で取り付けると、屋根材の破損、雨漏り、金具の脱落につながる可能性があります。
DIYでは施工せず、メーカーの施工基準を理解した専門業者へ依頼しましょう。
ゆきもちくんの設置費用はどう決まる?
設置費用は、次の条件によって変わります。
- 使用する製品
- 施工する長さ
- 屋根材の種類
- 屋根勾配
- 建物の高さ
- 既存雪止めの状態
- 太陽光パネルの有無
- 足場の必要性
- 屋根補修の有無
正確な費用を算出するには、屋根の実測と現地調査が必要です。
雪止めネット本体の価格だけでなく、専用金具、施工費、足場費、既存屋根の補修費を含めて確認しましょう。
よくある質問
ゆきもちくんは後付けできますか?
既存住宅への後付けに対応しています。
ただし、屋根材、勾配、下地、雪止め金具の位置によって施工方法が異なるため、現地調査が必要です。
瓦屋根にも取り付けられますか?
公式サイトでは、日本瓦、洋瓦、平板瓦などへの取り付けに対応すると案内されています。
瓦の種類や状態に適した専用部材を選定します。
金属屋根にも設置できますか?
鋼板屋根にも対応しています。金属横葺き屋根などには、スーパーゆきもちくんが適する場合があります。
太陽光パネルがあっても設置できますか?
太陽光パネル向けの製品があります。
ただし、パネル配置や軒先までの距離によって施工できない場合もあるため、事前確認が必要です。
ゆきもちくんを付ければ雪下ろしは不要ですか?
積雪量や建物の設計条件によっては雪下ろしが必要です。ゆきもちくんは落雪を抑える製品であり、屋根上の雪や積雪荷重をなくす製品ではありません。
雨樋の破損を完全に防げますか?
落雪による雨樋への衝撃を軽減する効果は期待できますが、積雪量や施工条件によって結果は異なります。
雨樋との位置関係を含めた適切な設計・施工が必要です。
まとめ|北陸の落雪対策に適した雪止めネット
ゆきもちくんは、屋根の軒先付近に専用ネットを設置し、雪をネットへかみ込ませることで落雪を抑える製品です。
主な特徴は次のとおりです。
- 軒先部分からの落雪を抑えられる
- 日本瓦・洋瓦・スレート・鋼板屋根などに対応
- 屋根色に合わせたカラーを選べる
- 太陽光パネル向け製品もある
- 雨樋やカーポートへの落雪対策になる
- 国内生産で耐久性・耐食性に配慮されている
- 住宅から公共施設まで施工実績がある
ただし、製品を設置すればすべての雪害を防げるわけではありません。屋根材、勾配、積雪条件、落雪先を調査し、住宅に合った製品を選ぶことが重要です。
ホクリクルーフでは、金沢市を中心に、屋根の状態や落雪位置を確認したうえで、ゆきもちくんを含む雪止め対策をご提案しています。
「玄関前へ雪が落ちる」「雨樋やカーポートの破損が心配」「太陽光パネルからの落雪を防ぎたい」という方は、積雪期を迎える前にご相談ください。