〜プロが教えるお役立ちコラム〜
外壁のひび割れや色あせが気になり、そろそろ工事を考えようと思った。
ところが、家の横へ回ってみると、お隣との間は人が一人通れるかどうか。
「ここに足場なんて入るのかな」
正面なら工事ができそうでも、横や裏は難しそう。
お隣の敷地を借りることになったら、どうお願いすればよいのかも気になりますよね。
隣の家との隙間が狭くても、外壁工事ができる場合はあります。
ただし、足場が入るかだけでなく、職人が安全に作業できるか、必要な材料を運べるかまで確認して判断します。
「狭いから無理だろう」と諦める前に、まず現地の条件を見てもらってください。
今回は、足場と工法の選び方、近隣への相談、費用の確認まで、順番にお話しします。
外壁工事ができるかは、隙間の幅だけでは決まりません
家と家の間が、地面の近くでは広くても、上のほうでは軒が張り出している。
通路の途中に給湯器や室外機があり、そこだけ狭くなっている。
住宅のまわりは、同じ幅の空間が上まで続いているとは限りません。
また、隣の外壁までの距離が、そのまま自分の敷地で使える幅とは限りません。
境界の位置と、実際に作業に使える範囲を確認する必要があります。
現地では、主に次の点を見ます。
| 確認するところ | 工事計画に関わる理由 |
|---|---|
| 外壁から境界までの距離 | 自分の敷地内で足場を計画できるか判断するため |
| 外壁から塀・隣家までの距離 | 足場や作業スペースの条件を確認するため |
| 軒・庇・出窓の張り出し | 上部で足場や人の動きを妨げないか確認するため |
| 室外機・給湯器・配管 | 設備を使いながら安全に施工できるか考えるため |
| 地面の段差や状態 | 足場を安定して設置できるか確認するため |
| 材料の搬入経路 | 部材や外壁材を運び、取り回せるか確認するため |
| 隣家の窓・出入口・駐車場 | 生活への影響と養生方法を考えるため |
このため、電話で「50センチくらいあります」と聞いただけで、施工できると断言することはできません。
幅の数字は大事な情報ですが、最終的には、足場と実際の工事を合わせて計画します。
足場を組むには何センチ必要?一律の数字で考えない
インターネットで調べると、「何センチあれば足場が組める」という説明を見かけるかもしれません。
でも、使う足場の構造や建物の形、必要な作業によって条件が変わります。
足場の部材を収められても、工具を扱ったり、外壁材を取り付けたりする余裕がなければ、その工事は進められません。
「足場が入る」と「必要な工事がきちんとできる」は、分けて確認したいことです。
幅1メートルのルールは「工事できる最低幅」ではありません
足場には、建物側と外側に支柱を設ける本足場や、支柱が一列の一側足場などがあります。
厚生労働省の案内では、2024年4月1日以降、幅1メートル以上の箇所で足場を使用するときは、原則として本足場を使用することとされています。
1メートル未満でも、可能な限り本足場を使用することが望ましいとされています。
この1メートルは、「これより狭ければ外壁工事ができない」という線引きではありません。
また、「1メートル未満なら、どんな簡易な足場でもよい」という意味でもありません。
幅の取り方や障害物などによる扱いもあるため、現地の条件に応じて、施工会社と足場業者が安全な構造を検討します。
参考:厚生労働省「足場からの墜落・転落災害防止に関する改正規則の施行について」
狭い場所では、作業の姿勢まで考える
職人が無理な姿勢で腕を伸ばし続けるような状態では、安全面だけでなく、下地処理や施工後の確認にも支障が出ます。
「職人が細いから通れる」「手が届くから塗れる」という話だけで工事を決めるのは避けたいところです。
見積もりの説明では、こんなふうに聞いてみてください。
”この狭い面も、下地の補修から仕上げまで作業できる計画ですか?施工しにくい場所はありませんか?”
やりにくい部分があるなら、それをどう解決するかまで説明してもらいましょう。
塗装・張り替え・カバー工法で、必要なスペースは変わる
同じ外壁工事でも、塗る作業と、大きな外壁材を運んで張る作業では必要な動きが違います。
「塗装ができるから、外壁カバー工法も同じようにできる」とは限りません。
| 工事の種類 | 狭い場所で確認したいこと |
|---|---|
| 外壁塗装 | 洗浄・下地補修・目地処理・塗装・確認までできるか |
| コーキング工事 | 古い材料の撤去や清掃、充填・仕上げの作業ができるか |
| 外壁の張り替え | 既存材の撤去・搬出と、新しい材料の搬入・固定ができるか |
| 外壁カバー工法 | 下地や新しい外壁材を施工する空間と、仕上がりの厚みを確保できるか |
| 部分補修 | 傷みの原因と必要な範囲に、確実に手が届くか |
塗装でも、ローラーが届くだけでは不十分
外壁塗装には、汚れを落とす、傷んだ部分を補修する、必要な養生をするなど、塗る前の作業があります。
長い柄の道具で表面に塗料を付けられても、ひび割れや目地を適切に処理できるとは限りません。
塗る工程だけを見て、「足場なしでもできる」と判断しないことが大切です。
カバー工法では、外側へ増える厚みも確認する
外壁カバー工法は、既存の外壁の上に下地や新しい外壁材を施工する方法です。
外側に厚みが増えるため、境界や隣家との距離、窓・配管・設備との取り合いを確認します。
狭い面では、このわずかな違いも計画に関わります。
材料を小さくすれば解決する、とも限りません。
継ぎ目の配置や固定方法、防水の納まりは、採用する製品の施工条件に沿って考える必要があります。
張り替えでは、外した材料を運び出す経路も必要
張り替えは、新しい外壁材を張る前に、既存の外壁材を外します。
そのため、施工場所だけでなく、撤去した材料を安全に搬出する方法も検討します。
外壁を外したあとに下地の傷みが見つかった場合、そこを補修できる作業空間も必要です。
工法は、隙間の広さだけで選ぶものではありません。
外壁の状態に必要な工事を確認したうえで、その工事を実施できる方法を考えます。
室外機や給湯器が邪魔になる場合はどうする?
通路の途中に設備があるため、足場を組む位置が限られることもあります。
まずは設備をそのまま残して施工できるか検討し、必要に応じて、一時的な移動や取り外しを相談します。
ただし、室外機や給湯器は、家具のように自由に動かせるものではありません。
配管・配線の処理や復旧は、対応する設備業者などとの調整が必要です。
確認したいのは、次の3点です。
- 移動・取り外し・復旧の費用が見積もりに含まれるか
- エアコンや給湯器を使えない時間があるか
- 復旧後に誰が動作や接続状態を確認するか
足場や養生が、機器の給排気や室外機の通風を妨げない計画も必要です。
ご自身で配管を外したり、無理に機器を動かしたりせず、現地調査の際に相談してください。
隣の敷地を借りる場合、どのように相談する?
自分の敷地だけでは安全な作業空間を確保できず、お隣の敷地の一部を使う計画を検討することもあります。
このときは、いきなり「工事の日が決まったのでお願いします」と伝えるより、施工会社と使用範囲を整理してから相談したほうが、相手も判断しやすくなります。
「どこを、いつまで使うか」を具体的に伝える
話し合いたいのは、足場を置くことだけではありません。
| 相談すること | 具体例 |
|---|---|
| 使用する場所 | 足場を置く範囲、職人が通る経路 |
| 使用する期間 | 組立日、解体予定日、天候で延びる場合の連絡 |
| 作業時間 | 音の出る作業、休日の作業予定 |
| 生活への影響 | 窓・通路・駐車場・洗濯物への配慮 |
| 養生・復旧 | 植木や設備の保護、清掃、傷が付いた場合の対応 |
| 連絡先 | 気になることがあったときに連絡する担当者 |
使用範囲は、図や写真があると伝わりやすくなります。
双方で確認した内容を、書面やメールなどに残しておくと行き違いも減らせます。
お隣との調整が難しい場合は、先に工程を確定しない
隣地の使用には法律上のルールも関わります。
「外壁工事のためだから自由に入ってよい」とは考えず、事前に使用条件を説明し、調整してください。
断られた場合や、所有者・境界がはっきりしない場合は、足場の配置や工法を再検討します。
それでも解決が難しければ、弁護士などに個別の事情を相談しましょう。業者判断だけで強行する進め方は避けてください。
施主様だけで工事の技術的な説明をするのは難しいと思います。
施工会社に、近隣説明への同席や資料作成をどこまで頼めるか、最初に聞いておくとよいでしょう。
足場が難しいなら、ロープや高所作業車でできる?
建物や作業内容によっては、高所作業車やロープを使う方法が検討されることもあります。
ただし、狭い住宅の外壁工事で、足場の代わりに何でもできる方法ではありません。
高所作業車には、車両の進入・設置場所や、作業する壁面まで届く条件が必要です。
ロープを使う作業にも、支持する場所、安全対策、作業できる範囲などの条件があります。
材料を扱う張り替えなどでは、さらに制約が出ます。
「足場代がかからないから」という理由だけで選ぶより、必要な補修・施工・確認ができる方法かを聞いてください。
専門の施工体制も含めて、安全性と適用範囲を判断する必要があります。
狭い場所の外壁工事は、費用が高くなる?
条件によっては、一般的な敷地より費用が増えることがあります。
ただ、隙間が狭いという理由だけで、一律に何割高くなるとはいえません。
たとえば、次の作業が必要かどうかで変わります。
- 現場に合わせた足場の配置や部材の調整
- 狭い搬入経路での材料の小運搬
- 室外機などの一時移動と復旧
- 隣接する窓・車・設備などの養生
- 作業条件による工期の延長
見積もりでは、「狭小地対応一式」の金額だけでなく、何をするための費用かを確認しましょう。
比較する際は、足場の範囲、設備の移動、養生、復旧、施工できる面がそろっているかも見てください。
安い見積もりでも、後から必要な作業が加われば、総額は変わります。
近隣との調整や天候によって工程が延びた場合の費用の扱いも、契約前に確認しておくと安心です。
「狭い面だけ工事しない」という選択はできる?
傷みの状態によっては、今回は施工しない面を残す計画も考えられます。
ただし、見えにくいから、作業しにくいからという理由だけで、傷んでいる面を除外するのは避けたいところです。
そこに雨漏りの原因があるなら、ほかの面をきれいにしても解決しません。
今回施工しない場合は、次のことを確認してください。
- その面の状態を、どこまで調べられたか
- 工事を見送ってよいと考える理由は何か
- 未確認の部分や、残る不具合はあるか
- 今後いつ、どのように点検するか
見積書や保証の範囲にも、施工する面・しない面を明記してもらいましょう。
現地調査を頼む前に、準備すること
問い合わせのために、無理に隙間へ入って測る必要はありません。
わかる範囲で、「人が一人通れるくらい」「室外機があって途中を通れない」「塀がある」と伝えていただければ、最初の相談はできます。
写真を撮れるなら、自分の敷地内の安全な場所から、通路の入口、設備の位置、建物上部の張り出しなどがわかるものを用意すると話が進めやすくなります。お隣の敷地に無断で入る必要はありません。
境界がわかる図面や、以前の工事の資料があれば参考になります。
境界が不明なら、そのことも伝えてください。
現地調査では、外壁の傷みだけでなく、足場や材料の搬入まで確認してもらいましょう。
必要に応じて、足場業者が別の日に下見をする場合もあります。
よくあるご質問
隣の家との隙間が30センチ程度でも工事できますか?
数字だけでは判断できません。
境界の位置、上部の張り出し、足場の配置、作業内容などによります。
非常に狭い場合は、自分の敷地内だけでは安全な作業が難しいこともあります。
現地で施工可能な範囲と方法を確認してください。
人が通れるなら、外壁塗装もできますか?
通行できることと、作業できることは別です。
下地補修や養生、塗装、仕上がりの確認に必要な空間と、安全な作業床などを確保できるか検討します。
隣の敷地を借りる相談は、施主がしなければいけませんか?
施主様からのご挨拶に加え、施工会社が工事内容を説明する進め方もあります。
誰が連絡し、使用条件をどう記録するかは、施工会社と事前に相談してください。
狭い面だけ別の工法にできますか?
建物の状態や材料の条件によっては検討できます。
ただし、違う工法の境目の防水や納まり、仕上がり、今後のメンテナンスも考える必要があります。
狭いという理由だけで工法を決めず、必要な修理ができるかを確認しましょう。
「うちは無理かも」と思った段階で、ご相談ください
お隣との距離が近いと、工事そのものに加えて、音や汚れ、敷地を借りる相談まで気になると思います。
だからこそ、工事の日を決める前に、現地でできることを整理しておくと安心です。
ホクリクルーフへのお問い合わせも、まずはこんな伝え方で大丈夫です。
”外壁の傷みが気になっていますが、隣の家との隙間が狭く、足場が組めるかわかりません。
工事ができるか、現地を見て相談したいです。”
金沢市周辺で外壁工事をお考えの方は、隙間の広さや気になる設備など、わかる範囲で教えてください。
外壁の状態と作業条件を確認し、工法や近隣との調整について、一つずつ整理していきましょう。
屋根や外壁、雨樋の不調は、早期発見・早期対処がコストを抑える鍵です。
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