〜プロが教えるお役立ちコラム〜
地震や台風、大雪のあとに、屋根の瓦が以前と違って見えることはありませんか。
瓦のずれは、見た目だけの問題ではありません。
瓦同士の重なりが崩れると、雨水が瓦の下へ入りやすくなり、下にある防水シートや野地板の劣化を早める可能性があります。
さらに強風や余震が重なると、瓦が落下する危険もあります。
結論からいうと、ずれた瓦を元の位置へ戻すだけでは十分とは限りません。
なぜ動いたのかを調べ、瓦の固定、桟木、防水シート、棟の状態まで確認することが重要です。
この記事では、瓦がずれる原因、災害後に確認したい症状、修理方法、保険を利用するときの注意点を、金沢市・石川県の気候も踏まえて分かりやすく解説します。
瓦がずれる主な原因
瓦のずれは、地震や強風といった一度の災害だけでなく、経年劣化や施工状態が重なって発生することがあります。
1.地震の揺れ
地震で建物が揺れると、瓦同士がぶつかったり、屋根面に対して横方向の力が加わったりします。
その結果、次のような被害が起こります。
- 平部の瓦が横や下方向へずれる
- 瓦のかみ合わせが外れる
- 瓦が割れる
- 棟瓦やのし瓦が動く
- 棟が蛇行する、崩れる
- 漆喰や葺き土が落下する
特に、瓦の固定が少ない古い工法や、葺き土を多く使った棟は、揺れによる変位が生じることがあります。
一般社団法人全日本瓦工事業連盟によると、瓦屋根標準設計・施工ガイドラインは、瓦屋根の地震・強風に対する弱点を改善するために制定されました。
現在は瓦を緊結する方法が明確化され、新築等では2022年1月から改正告示に基づく強風対策が必要です。
参考:全日本瓦工事業連盟「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」
2.台風・突風・強風
屋根を通過する風は、瓦を上から押すだけではありません。
屋根の端部や軒先では、瓦を持ち上げようとする力も発生します。
一枚の瓦が浮いたり外れたりすると、その隙間へ風が入り、周囲の瓦まで連鎖的に動くことがあります。
特に注意したい場所は次のとおりです。
- 軒先
- ケラバ(屋根の斜めの端)
- 棟
- 隅棟
- 建物の角に近い部分
金沢市でも過去に突風による屋根瓦のめくれや落下が確認されています。
地域に関係なく、「これまで飛ばなかったから大丈夫」とは言い切れません。
参考:気象庁「平成28年2月9日に石川県金沢市で発生した突風について」
3.積雪・落雪・雪解け
北陸の瓦屋根では、雪の重みだけでなく、雪が動くときに加わる力にも注意が必要です。
積もった雪が屋根の上でゆっくり滑ると、雪止め瓦や周辺の瓦が押されます。
凍結した雪が軒先方向へ動いたり、屋根から雪の塊が落ちたりすると、瓦の浮き、割れ、固定部の損傷が起こることがあります。
雪解け水は瓦の小さな隙間にも入り込みます。
ずれと防水シートの劣化が重なっている場合、春になってから雨漏りが見つかることもあります。
4.瓦を固定する釘・ビス・銅線の劣化
瓦そのものが割れていなくても、固定部材が緩んだり、腐食したり、切れたりすると瓦は動きやすくなります。
また、古い瓦屋根では、現在のようにすべての瓦が十分に固定されていない場合があります。
見えている一枚だけを直しても、周囲の固定力が低下していれば再発する可能性があります。
5.瓦桟や野地板の劣化
瓦は、瓦桟という横方向の部材に引っ掛け、釘やビスなどで固定されています。
雨水の侵入や結露によって瓦桟や野地板が腐ると、固定部材が効かなくなります。
この状態では、表面から瓦を戻しても安定しません。
瓦を部分的に外し、下地の状態を確認する必要があります。
6.棟の漆喰・葺き土の劣化
屋根の頂部にある棟では、漆喰の剥がれや葺き土の流出によって、のし瓦や冠瓦を支える力が低下することがあります。
棟瓦のずれは雨漏りだけでなく、道路、玄関、駐車場、隣家側への落下にもつながるため、平部の瓦以上に早い対応が必要です。
7.人が屋根を歩いた、アンテナ工事などで力がかかった
点検、アンテナ工事、雪下ろしなどで屋根を歩いた際に、瓦を踏み割ったり、位置をずらしたりすることがあります。
瓦はどこを踏んでもよいわけではありません。
災害後に自分で屋根へ上がると、転落に加え、被害を広げる危険があります。
確認は地上や窓から行い、屋根上の点検は専門業者へ依頼しましょう。
地震・強風・積雪後に確認したい屋根の症状
屋根へ上がらなくても、地上や離れた場所から確認できる変化があります。
瓦の列がまっすぐに見えない
瓦の縦横のラインが波打っている、一枚だけ下がっている、重なり幅が周囲と違う場合は、瓦が動いている可能性があります。
瓦が浮いて影が見える
瓦の端が持ち上がり、周囲より大きな影や隙間が見える状態です。
強風時にさらに浮き上がるおそれがあります。
瓦の欠け・ひび割れ・落下
庭や雨樋の中に瓦の破片が落ちていたら、屋根上で割れている可能性があります。
落下した破片だけを片付けず、写真を残しておきましょう。
棟が曲がっている、段差がある
棟のラインが蛇行している、のし瓦が外へ出ている、冠瓦の高さがそろっていない場合は、棟全体が動いている可能性があります。
漆喰や土が落ちている
白い塊や土のようなものが雨樋や地面へ落ちていたら、棟内部の劣化が疑われます。
漆喰の表面だけを塗り重ねても、内部の土や固定部が崩れていれば根本修理にはなりません。
天井・軒天・小屋裏に雨染みがある
瓦がずれた場所と、室内に染みが出る場所は一致するとは限りません。
雨水は防水シートや木材に沿って移動するため、離れた場所へ症状が出ることがあります。
雨のときに屋根から異音がする
風の強い日に「カタカタ」「バタバタ」という音がする場合、瓦や板金が動いている可能性があります。
音が止まっても、固定が自然に直ったわけではありません。
瓦のずれを放置するとどうなる?
瓦の下には防水シートがあるため、瓦が少しずれても直ちに室内へ水が落ちないことがあります。
しかし、放置してよいという意味ではありません。
考えられる影響は次のとおりです。
- 瓦の隙間から雨水や吹き込みが増える
- 防水シートが繰り返し濡れる
- 釘穴や防水シートの劣化部から水が入る
- 瓦桟・野地板・垂木が腐る
- 断熱材が濡れ、カビや天井の染みが発生する
- 次の強風や地震で瓦が落下する
- 修理範囲と費用が広がる
「雨漏りしてから直す」のではなく、屋根の一次防水である瓦の並びが崩れた段階で点検することが、建物を長く守る近道です。
瓦がずれたときの修理方法
修理方法は、ずれた枚数だけではなく、固定部と下地の状態で決まります。
| 屋根の状態 | 主な修理方法 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 数枚だけずれ、下地に問題がない | 瓦の位置調整・固定し直し | 周囲の瓦も緩んでいないか |
| 瓦が割れている | 同形状の瓦へ差し替え | 廃番瓦は入手できるか |
| 釘・ビス・銅線が緩んでいる | 適切な固定部材で再固定 | 下地に固定力があるか |
| 棟瓦がずれ、漆喰も崩れている | 棟の積み直し・耐震化 | 棟金具・芯木・固定方法 |
| 瓦桟や防水シートが傷んでいる | 部分葺き直し・全面葺き直し | 野地板の腐食範囲 |
| 屋根全体の固定が弱く劣化も広い | ガイドライン工法で葺き直し・葺き替え | 耐震性、耐風性、屋根重量 |
数枚の位置調整・差し替え
原因が局所的で、瓦桟や野地板が健全なら、瓦を正しい位置へ戻して固定します。
割れた瓦は同じ形状の瓦へ交換します。
ただし、瓦の形は産地、製造時期、寸法によって異なります。
似た瓦を無理にはめると、かみ合わせが悪くなり雨水が入りやすくなるため、適合確認が必要です。
棟瓦の積み直し
棟全体が曲がっている場合は、ずれた瓦だけを押し戻すのではなく、棟を一度解体して内部を確認します。
必要に応じて棟金具、芯木、ビスなどを使い、耐震性・耐風性を考慮して組み直します。
ホクリクルーフ関連記事:
ガイドライン工法とは?地震や台風に強い瓦屋根の施工方法
瓦の葺き直し
瓦自体を再利用できても、防水シートや瓦桟が傷んでいる場合は葺き直しを行います。
既存瓦を一度撤去し、下地と防水シートを補修したうえで瓦を戻す方法です。
瓦の処分量を抑えられる一方、割れや不足に備える予備瓦の確保が必要です。
既存瓦の状態が悪い場合は、新しい瓦への葺き替えも比較します。
災害後に自分でできること・してはいけないこと
地上から写真を撮る
建物全景、屋根の各面、破片、室内の染みを撮影し、地震や強風、大雪があった日と発見日を記録します。
過去の写真があれば、災害前後を比較できます。
雨漏りしたら室内側で受ける
バケツや防水シートで床や家財を守り、濡れた電気設備には触れないでください。
天井が膨らんでいる場合は、落下する可能性があるため真下に入らないようにします。
屋根へ上がらない
ずれた瓦を手で戻したり、ブルーシートを掛けたりする作業は危険です。
余震、突風、濡れた瓦、残雪がある状況では、専門職でも慎重な判断が必要です。
瓦同士をコーキングで全面的に固めない
誤ったコーキングは、瓦の隙間に必要な排水を妨げることがあります。
将来の差し替えが難しくなり、地震時に力を逃がせない可能性もあるため、屋根全体へ自己流で施工しないでください。
地震保険・火災保険を確認するときの注意点
地震による瓦の損害は、一般的な火災保険ではなく、火災保険に付帯する地震保険で扱われます。
一方、台風・暴風による風災や、大雪による雪災は、契約内容によって火災保険の補償対象になる可能性があります。
日本損害保険協会も、風災・雪災の補償範囲は商品によって異なり、地震による損害には地震保険の付帯が必要だと説明しています。
参考:日本損害保険協会「火災保険の補償範囲」
また、日本地震再保険のQ&Aでは、屋根瓦だけの被害でも、所定の損害割合に達すれば地震保険の支払い対象になると説明されています。
ただし、施工業者が適用を決めるものではありません。損害認定は保険会社が行います。
参考:日本地震再保険「地震保険Q&A」
保険を確認する場合は、次の順序で進めるとスムーズです。
- 被害状況を写真・動画で記録する
- 加入している保険会社または代理店へ連絡する
- 補償内容と必要書類を確認する
- 屋根業者に調査と見積もりを依頼する
- 保険会社の案内に従って修理を進める
緊急性がない場合は、保険会社へ連絡する前に証拠となる破損部分を撤去・処分しないようにしましょう。
雨漏り防止など緊急措置が必要な場合も、施工前後の写真と作業内容を残します。
信頼できる瓦屋根業者の選び方
瓦のずれを再発させないためには、表面だけでなく原因を確認できる業者を選ぶ必要があります。
- 屋根全体を撮影し、ずれの位置を説明してくれる
- 瓦の固定部、瓦桟、防水シートまで確認する
- 部分修理と葺き直しの判断理由が明確である
- 棟を直す場合、内部構造と固定方法を説明する
- 施工前・施工中・施工後の写真を残す
- 保険が必ず使えると断定しない
- 見積書に瓦差し替え、下地補修、廃材、足場などの範囲が書かれている
ホクリクルーフ関連記事:
雨漏り修理業者の見分け方|信頼できる会社を選ぶ10のポイント
よくある質問
瓦が一枚だけずれています。すぐに雨漏りしますか?
すぐに室内へ漏れるとは限りませんが、瓦の下へ入る水量が増える可能性があります。
また、一枚が動いた原因を確認しなければ、周囲の瓦もずれるおそれがあります。早めに点検してください。
地震後、瓦に異常が見えなくても点検は必要ですか?
強い揺れを受けた場合や、古い工法の瓦屋根、過去に棟を補修している屋根は点検すると安心です。
地上から見えない面や、固定部だけが緩んでいる場合もあります。
瓦のずれは自分で戻せますか?
屋根上作業は転落の危険があるため、おすすめしません。誤った位置へ戻すと、瓦のかみ合わせや排水を損なうこともあります。
瓦のずれだけなら足場は不要ですか?
屋根の高さ、勾配、作業範囲、隣地との距離によって異なります。
数枚の差し替えでも安全な作業床が必要になる場合があります。
見積もり時に足場が必要な理由を確認しましょう。
ずれた瓦は再利用できますか?
ひび割れがなく、形状と強度に問題がなければ再利用できる場合があります。
ただし、長年使用した瓦は表面から見えない傷があることもあるため、一枚ずつ確認します。
修理まで雨が降りそうな場合はどうすればよいですか?
屋根へ上がらず、室内の家財を移動し、雨水を安全に受けてください。
屋根の応急養生は専門業者へ依頼します。
応急処置は本修理ではないため、その後に原因箇所を直す必要があります。
まとめ|瓦のずれは「原因」と「下地」まで確認する
瓦がずれる主な原因は、地震、強風、積雪、固定部材の劣化、瓦桟や野地板の傷み、棟内部の劣化です。
一枚だけのずれに見えても、屋根全体の固定力が低下している可能性があります。
瓦を元へ戻すだけで終わらせず、固定部、防水シート、下地、棟の状態まで確認することが、雨漏りと再発を防ぐポイントです。
金沢市・石川県で地震・強風・積雪後の瓦が気になる方は、ホクリクルーフへご相談ください。
屋根の状態を写真で分かりやすくお伝えし、差し替え、固定し直し、棟の積み直し、葺き直しなど、必要な範囲に合わせてご提案します。
屋根や外壁、雨樋の不調は、早期発見・早期対処がコストを抑える鍵です。
金沢市・石川県を中心に対応しているホクリクルーフでは、
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