〜プロが教えるお役立ちコラム〜
外壁の色あせが気になり、そろそろ塗り替えようかと考え始めた。
せっかく足場を組むならと、普段は見えない屋根も一緒に見てもらうことにした。
たとえば、そんなきっかけで二社に相談したとします。
一社からは「屋根は塗装すれば、まだ使えますよ」。
もう一社からは「今後のことを考えると、カバー工法をおすすめします」と言われた。
見積もりの金額も違うし、どちらも自信を持って説明してくれる。
「安いほうで済むなら助かるけれど、すぐにやり直しになったら困る。
かといって、必要のない工事にお金はかけたくない」
こうなると、家族で見積書を見ても、なかなか決められませんよね。
屋根塗装とカバー工法で提案が分かれるのは、屋根の状態の見方や、工事で解決しようとしていること、何年先まで考えるかが違うためです。
どちらかが必ず間違っているとは限りません。
ただ、説明の前提が違うまま金額だけを比べても、答えは出しにくいと思います。
今回は、業者によって提案が違ったときに、何を聞けばご自宅に合う工事を選びやすくなるのかをお話しします。
屋根塗装とカバー工法では、直せる部分が違います
まず、二つの工事の違いを押さえておきましょう。
ここでは主に、住宅のスレート屋根に塗装か金属屋根のカバー工法を検討するケースを中心に説明します。
屋根塗装は、今ある屋根材を使い続けながら、適切な下地処理と塗り替えを行う工事です。
見た目を整えるほか、屋根材や塗料に応じて表面の保護などを図ります。
カバー工法は、既存の屋根の上に、新しい防水紙と屋根材を施工する方法です。
一般に重ね葺きとも呼ばれます。
古い屋根を残せる条件があるか、事前に確認する必要があります。
| 比較するところ | 屋根塗装 | 屋根カバー工法 |
|---|---|---|
| 今ある屋根材 | 補修・下地処理をして使い続ける | 原則として残し、上に新しい屋根を施工する |
| 表面の仕上がり | 塗り替えて整える | 新しい屋根材の仕上がりになる |
| 防水紙 | 通常の塗装では交換しない | 既存屋根の上に新たに施工する |
| 木下地 | 塗装では傷みを直せない | 健全性や固定できる状態かを確認。傷みは別途対処が必要 |
| 最初の費用 | 同じ屋根ならカバー工法より抑えやすい傾向 | 材料・施工範囲が増えるため高くなりやすい |
| 向いているかの判断 | 屋根材の種類と状態、塗装の適合性を見る | 屋根材・下地・勾配・荷重など施工条件を見る |
金属屋根によるカバー工法の概要は、アイジー工業の屋根リフォーム案内でも紹介されています。
実際に採用できるかは、製品の施工条件と現地の状態で決まります。
塗装は、傷んだ屋根を何でも元に戻せる工事ではありません。
カバー工法も、下地の問題を上から隠せばよい工事ではありません。
この違いが、提案を比べるときの出発点になります。
同じ屋根なのに、なぜ業者の提案が分かれる?
見ている傷みが違うことがあります
一社は、色あせや表面の塗膜を中心に見ている。
もう一社は、屋根材の割れや、これまでの補修跡まで含めて考えている。
そうすると、提案が変わることがあります。
ここで気をつけたいのは、「色が薄くなった=雨漏り寸前」とは言えないことです。
ケイミューは、同社のカラーベストについて、色が薄くなったり汚れが付いたりしても、それだけで基本性能・防水性に問題があるわけではなく、美観の維持向上を図る場合に再塗装を行うと案内しています。
ケイミューの屋根材FAQ
これは、割れや下地の傷みまで放っておいてよい、という意味ではありません。
色あせと、修理が必要な不具合を分けて見る必要があるということです。
点検写真を見せてもらったら、「この写真の、どこが工法を決める理由になっていますか」と聞いてみてください。
「塗れる」と「塗装を選ぶとよい」は、少し違います
表面に塗料を塗れる状態でも、その工事がお客様にとって十分な意味を持つかは、別に考える必要があります。
たとえば、屋根材そのものの傷みが進んでいたら、高耐久の塗料を選んでも、材料の割れや剥がれまで元に戻るわけではありません。
逆に、屋根材がしっかりしていて、主な目的が美観の回復なら、塗装を検討する余地があります。
ですので、「塗装できます」という説明には、もう一つ質問を足してみてください。
「塗装したあとも残る問題はありますか?」
この答えを聞くと、塗装で何が改善して、何は変わらないのかが見えてきます。
どこまで調べたかが違うこともあります
地上から見たのか、ドローンで表面を撮影したのか、近くで割れを確認したのか。
雨漏りの履歴を聞いたか、小屋裏を見たかでも、得られる情報は違います。
ただし、ドローンで鮮明な写真が撮れたからといって、防水紙や木下地の状態まで全部わかるわけではありません。
小屋裏からの確認にも、見える範囲の限界があります。
「下地は大丈夫」と言われたら、何を確認して判断したのかを聞きましょう。
見えない部分はまだ判断できないのであれば、その説明も必要です。
わからないところを残したまま断定するより、「ここまでは確認できた。ここから先は追加確認が必要」と分けて説明してもらえるほうが、工事の条件を理解しやすいと思います。
お客様が考えている期間や予算が、伝わっていない場合も
「今回はできるだけ費用を抑えたい」と伝えれば、既存の屋根を使い続ける方法を優先して検討することになります。
「この家に長く住むので、大きな屋根工事を何度もしたくない」という希望なら、カバー工法なども含めて考えることになります。
つまり、同じ屋根でも、何を優先するかで候補が変わる場面があるんですね。
ただし、予算が少ないからといって、塗装に向かない屋根へ無理に塗るのはおすすめできません。
まず施工できる方法を絞り、その中で予算や今後の暮らしに合うものを選ぶ順番です。
会社ごとの得意分野や、扱う工事の範囲も違います
塗装を中心にする会社もあれば、板金や葺き替えを中心にする会社もあります。
扱っている商品や施工体制の違いが、提案に影響することも考えられます。
ただ、塗装会社だから説明が偏っている、カバー工法を勧めるから高い工事を売りたい、と決めつける必要はありません。
「もう一方の方法を選ばなかった理由」を聞いてみてください。
会社の都合だけでなく、ご自宅の状態に結び付いた説明があるかが判断の手がかりになります。
塗装を検討できる屋根、カバー工法を検討したい屋根
次の表は、相談の方向を整理する目安です。実際の工法を、見た目や築年数だけで決めるためのものではありません。
| 屋根の状態や希望 | 検討の方向 |
|---|---|
| 色あせが主な悩みで、屋根材の状態がよい | 製品に合う塗装や、経過観察を検討 |
| 一部に割れや板金の不具合がある | 局所的な補修で対応できるかを確認 |
| 屋根材の広い範囲に傷みがあり、塗装では改善しにくい | 下地などの条件を確認し、カバー工法や葺き替えを検討 |
| 木下地の腐食や屋根の変形が疑われる | 調査のうえ、撤去して下地を直す工事も含めて検討 |
| 雨漏りしているが、入口がわからない | 工法を決める前に、原因と水の経路を調べる |
塗装を選ぶなら、屋根材の種類を確認する
同じように見えるスレート屋根でも、製品や製造時期、劣化の仕方は違います。
表面が層状に剥がれているなど、塗膜を載せる部分自体が不安定なら、塗装だけでの対応は慎重に考える必要があります。
屋根材の商品名がわかれば、メーカーのメンテナンス案内も判断材料になります。
新築時の図面や仕様書が残っていれば、点検の際に見せてください。
商品名がわからない場合も、そのまま相談して構いません。
調べられる範囲と現物の状態を見て判断します。
塗装を行うなら、塗料の商品名だけでなく、必要な補修、下地処理、屋根材に応じた排水経路の確保まで確認したいところです。
カバー工法を選ぶなら、下地を残せる理由を確認する
カバー工法では既存屋根を残すため、屋根を固定する部分が健全か、傷みを残して問題がないかが重要です。
傷んだ木材が、新しい屋根を載せることで丈夫になるわけではありません。
腐食が広がっている場合などは、古い屋根を撤去し、下地を直す葺き替えを検討することになります。
また、屋根が重なる分、工事前より重量は増えます。
採用する屋根材、勾配、建物の状態も含めて判断が必要です。
一般的なスレート屋根向けのカバー工法を、瓦屋根などへそのまま当てはめることもできません。
細かな条件は製品や工法で異なるため、メーカーの施工説明書に沿った計画になっているかを確認してください。
雨漏りしているなら、塗装かカバーかを先に決めない
屋根の相談ではありますが、雨水の入口が屋根面とは限りません。
外壁や窓、屋根と壁の境目などから入っている可能性もあります。
そのため、「雨漏りしているので塗装しましょう」「全部かぶせれば止まります」という説明だけでは、判断材料が足りません。
聞きたいのは、どこから水が入り、今回の工事でその原因をどう直すかです。
塗装に合わせて板金などの補修をするなら、塗装と補修の役割を分けて説明してもらいましょう。
カバー工法でも、雨漏りの原因となった壁際などを、どのように処理するのか確認が必要です。
きれいになることと、雨漏りの原因が解消することは、分けて確かめてください。
費用を比べるときは、同じ条件で並べてみる
塗装とカバー工法は内容が違うため、最初の金額に差が出るのは自然です。
安いほうが不十分、高いほうが安心、と金額だけでは決められません。
比較するときは、少なくとも次の項目をそろえて確認します。
- 屋根の施工面積と、工事する範囲
- 足場代や、必要な撤去・処分費の有無
- 板金や下地など、屋根面以外の補修内容
- 使用する材料と、将来必要になる点検・手入れ
- 材料保証と施工保証、それぞれの対象
同じ「屋根塗装」でも、棟板金の補修まで含む案と、塗る作業だけの案では違います。
カバー工法も、防水紙や板金、換気部分などの仕様によって内容が変わります。
金額が違うときは、「この差額で、何を直す範囲が増えるのか」と聞くとわかりやすいと思います。
「塗装を何回もするよりカバーが得」は、条件を見てから
長く住む予定なら、今後の工事まで含めて費用を考えることには意味があります。
ただ、塗装は必ず何年ごと、カバー工法なら何十年も一切手入れ不要、と決めて比較するのは避けたいところです。
実際のメンテナンス時期は、材料、施工状態、立地などで変わります。
「何年住む想定なのか」「その間に、どんな点検や補修を見込んだのか」。
将来費用の説明では、この前提も聞いてください。
塗料に示された期待耐用年数や、屋根材の保証年数が、そのまま屋根全体の寿命になるわけでもありません。
金沢・北陸の屋根では、雪や海からの風も含めて考える
同じ築年数でも、海に近い家と内陸の家、雪が残りやすい屋根とそうでない屋根では、確認したい条件が違います。
金属屋根を検討するなら立地に合う材料や保証条件、雪止めや落雪への対応も相談したいところです。
塗装でも、塗る部分だけでなく、板金や固定部分の状態をあわせて確認します。
「北陸だから必ずカバー工法」ということではありません。
地域の条件と、その家の屋根の状態を組み合わせて判断する必要があります。
提案が違って迷ったら、この五つを聞いてみてください
専門用語を覚えてから相談する必要はありません。次の聞き方で十分です。
| 質問 | 確かめたいこと |
|---|---|
| この工法をすすめる理由を、写真で教えてもらえますか? | ご自宅の傷みと提案が結び付いているか |
| もう一方の工法では、何が解決できませんか? | 選ばなかった理由に具体性があるか |
| 屋根材と下地は、どこまで確認できていますか? | 確認した事実と、まだわからない部分 |
| 今回の工事のあとも、どんな手入れが必要ですか? | 将来の費用や負担の見通し |
| 工事中に想定外の傷みが見つかったら、どう進めますか? | 追加調査・追加費用・了承の手順 |
どちらの会社にも同じ質問をすると、比べやすくなります。
「築年数が来ているから」「うちはいつもこの工法だから」で終わらず、写真や材料の状態をもとに説明してもらえるかを見てください。
よくあるご質問
築20年なら、塗装よりカバー工法にしたほうがよいですか?
築年数だけでは決まりません。
屋根材の種類、これまでの補修、割れや剥がれの状態、下地などを確認して判断します。
同じ築20年でも、選べる工事が違うことがあります。
一度塗装した屋根でも、カバー工法はできますか?
できる場合はあります。
塗装歴だけで可否は決まりませんが、既存塗膜の状態や防水紙の施工方法との適合性も確認が必要です。
以前の工事内容がわかる資料があれば、見せてください。
塗装したあと、数年でカバー工法をするのはもったいないですか?
短期間で次の工事が必要になる見込みなら、塗装費や足場代が重なる可能性は考えたいところです。
一方、屋根が塗装に適した状態で、予算や住む期間に合っていれば、塗装を選ぶ意味もあります。
今の状態と今後の予定を一緒に確認しましょう。
他社の提案を聞いてから相談しても大丈夫ですか?
構いません。
「塗装とカバー工法で意見が分かれている」と伝えてください。
どんな説明を受けて、何がわからなくなっているかがわかると、確認したい点を整理しやすくなります。
どちらを選ぶか決める前に、「なぜその工事なのか」を確かめましょう
塗装で使い続けられる屋根もあれば、塗るだけでは対応しにくい屋根もあります。
カバー工法が候補になる屋根でも、下地を直すために葺き替えが必要な場合があります。
私としては、お客様に工法の名前だけで選んでいただくより、
「この状態だから、この工事が合っている」と納得していただきたいと思っています。
「二社の説明が違って、どちらがいいのかわからない」
「塗装のほうが安いけれど、あとでやり直しにならないか心配」
その段階で、ホクリクルーフへご相談ください。
ご自宅の状態と、ご予算、これから何年くらい住む予定かを聞かせていただければと思います。
金沢市周辺の屋根修理・塗装・カバー工法のご相談は、電話・LINE・お問い合わせフォームから受け付けています。
相談・診断・見積もりは無料です。
屋根や外壁、雨樋の不調は、早期発見・早期対処がコストを抑える鍵です。
金沢市・石川県を中心に対応しているホクリクルーフでは、
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