〜プロが教えるお役立ちコラム〜
中古住宅を探していて、間取りも場所も、予算もちょうどよい一軒が見つかった。
休日に内見へ行ってみると、外壁もきれいに塗り直されています。
物件情報には「外壁塗装済み」の文字。
「これなら、引っ越してからしばらくは外まわりにお金がかからなそう」
そんなふうに感じるのは自然なことだと思います。
住宅の購入には、物件代金のほかにも引っ越しや家具などの出費がありますから、工事が済んでいるのはうれしいですよね。
外壁塗装済みであることは、購入を考えるうえでプラスの材料です。
ただ、それだけで屋根や外壁の内側まで直っているとは判断できません。
大切なのは、「塗ったかどうか」のもう一歩先。
いつ、どこを、どのように直したのかを確認することです。
今回は、中古住宅を購入する前に見ておきたい工事の範囲と、売主さんや仲介会社へ聞いておくと役立つことを、外装工事の立場からお話しします。
「外壁塗装済み」でわかること、まだわからないこと
外壁塗装は、見た目を整えるとともに、外壁の表面を保護するための大切なメンテナンスです。
ただし、「外壁塗装済み」という短い説明だけでは、施工時期や塗った面、補修した場所までは読み取れません。
たとえば、外壁の全面を塗り、傷んだ目地も交換した工事と、外壁の一部を補修して塗った工事。
どちらも、まず詳しい内容を聞かないと、その違いはわからないはずです。
| 確認する部分 | 「外壁塗装済み」だけで判断できる? |
|---|---|
| 外壁を塗った時期・面・範囲 | 明細や施工記録で確認したい |
| コーキングの交換・補修 | 塗装とは別に施工範囲を確認したい |
| 外壁材の割れ・反りなどの補修 | どの傷みにどう対応したか確認したい |
| 屋根の塗装・補修・葺き替え | 外壁とは別に確認が必要 |
| ベランダ・バルコニーの防水 | 外壁塗装に含まれるとは限らない |
| 外壁の裏の防水紙や木下地 | 表面の塗装からは判断できない |
| 過去の雨漏りと、その修理内容 | 工事履歴や売主への確認が必要 |
「塗装済み=外装すべての修理が完了」ではない。
まずは、ここを押さえておくと、確認することが整理しやすくなります。
購入前に聞いておきたい、工事範囲の5つのポイント
1.いつ、どの面を塗ったのか
最初に聞きたいのは、施工時期と塗装範囲です。
「最近」といっても、数か月前なのか数年前なのかで受け止め方が変わります。
正面だけなのか、建物の四面なのかも確認しましょう。
聞き方は難しくありません。
”外壁塗装は何年何月に行っていますか?建物全体を塗っていますか?”
あわせて、施工会社名や使用した塗料がわかる資料があれば見せてもらいます。
ただ、塗料の商品名だけで、次の修理時期まで決められるわけではありません。
塗る前の外壁の状態や補修内容も、長く使ううえで大事な情報です。
2.コーキングは交換したのか、部分的な補修なのか
サイディングの継ぎ目や窓のまわりには、ゴム状のコーキングが使われていることがあります。シーリングとも呼ばれる部分です。
日本窯業外装材協会も、サイディング表面の塗装と接合部のシーリングは永久的なものではなく、点検やメンテナンスが必要と説明しています。
外壁がきれいでも、目地の工事をどこまで行ったかは別に確認したいところです。
”コーキングは、古いものを取り除いて打ち替えていますか?施工した場所と、残した場所はわかりますか?”
工事内容によっては、既存の上に施工する増し打ちや、部分補修を選ぶ場合もあります。
打ち替えか増し打ちかという言葉だけで良し悪しを決めず、その部分の状態に合った方法かを確認します。
3.塗装前のひび割れや、傷んだ外壁材をどう直したのか
塗装後の写真だけでなく、塗る前と補修中の写真があれば、工事の内容を理解しやすくなります。
たとえば、ひび割れを補修してから塗ったのか、傷んだサイディングを一部交換したのか。
もともと補修を要する傷みがほとんどなかったのかもしれません。
聞いておきたいのは、「補修をした」という一言より、その場所と内容です。
”塗る前に割れや傷みはありましたか?あった場合、どのように直していますか?”
表面の仕上がりがきれいでも、塗装によって傷んだ外壁材や木下地そのものが新品になるわけではありません。
気になる変形や傷みがあれば、その原因と対応範囲を確認してください。
4.屋根・雨樋・軒天は、塗ったのか、直したのか
足場がかかっていたと聞くと、「屋根も一緒に見ているだろう」と思いやすいものです。
でも、足場があったことと、屋根の点検・修理が工事に含まれていたことは別です。
屋根は未施工かもしれませんし、点検だけ、部分補修だけ、塗装まで行ったなど、内容はさまざまです。
雨樋も、表面を塗ったのか、継ぎ目や金具まで補修・交換したのかでは工事が違います。
”屋根と雨樋は、今回の工事で何をしていますか?未施工の部分はどこですか?”
このように聞くと、外壁以外に今後の費用を見込むべき部分があるか、整理しやすくなります。
5.ベランダ防水と、雨漏りの履歴はどうなっているか
ベランダの床がきれいになっていても、表面の保護塗装なのか、防水層まで改修したのかは確認が必要です。
また、これまで雨漏りがあったかどうかも聞いておきましょう。
雨漏りの履歴があるからといって、それだけで購入を諦める必要はありません。
知りたいのは、原因を調べたか、どこを修理したか、その後の状況をどう確認したかです。
”過去に雨漏りした場所はありますか?修理した場合、原因と工事内容がわかる資料は残っていますか?”
室内の壁紙が新しくなっている場合も、その理由が模様替えなのか、雨染みの補修を伴うものなのか、気になる点があれば確認しましょう。
新しい仕上げだけで、以前の状態を推測しないことが大切です。
売主・仲介会社に見せてもらいたい資料
細かな工事用語を覚えるより、まず資料があるか聞いてみてください。
| 資料 | 確認しやすくなること |
|---|---|
| 工事明細・見積書・契約書 | 予定されていた工事範囲、数量、材料など |
| 完了報告書・変更内容の記録 | 実際に行った工事と、当初の予定からの変更 |
| 施工前・施工中・施工後の写真 | もとの傷み、補修過程、完成した状態 |
| 保証書 | 発行元、対象、期間、条件 |
| 過去の点検・雨漏り修理の記録 | 不具合の履歴と、それまでの対応 |
見積書があっても、そこに書かれたすべてが実施されたかは別の確認です。
追加や変更があった場合は、完了時の記録も合わせて見せてもらいましょう。
保証書があるなら、売買後も保証を受けられるか、名義変更などの手続きが必要かを発行元に確認します。
売主さんが持っている保証が、自動的に買主へ引き継がれるとは限りません。
資料が残っていないこともあります。
その場合、すぐに「工事に問題がある」と決めつけず、確認できたことと、まだわからないことを分け、必要な調査を相談してください。
内見では、外壁の色より「気になる場所」をメモする
内見で買主さん自身が工事の良し悪しを見抜くのは難しいものです。
無理に診断しようとせず、あとで聞きたい場所を記録するつもりで見てみてください。
たとえば、次のようなところです。
- 外壁の目地や窓まわりに、隙間が見える
- 外壁の一部に、浮き・膨らみ・欠けが見える
- 軒天にシミや剥がれがある
- 室内の天井や窓まわりに、気になる跡がある
- 雨樋が傾いて見える、接続部分が外れて見える
いずれも、見つかっただけで雨漏りや施工不良と断定できるものではありません。
「この部分は確認されていますか?」と質問する手がかりにしてください。
写真を撮るときは、売主さんや仲介会社に確認しましょう。
屋根に上る、はしごを使う、外壁を剥がすといった確認を、自分で行う必要はありません。
金沢市周辺の物件なら、雪や強風のあとに屋根・雨樋を修理したことがあるかも、工事履歴として聞いておくと役立ちます。
外壁の裏まで心配なら、どんな調査を頼めばよい?
建物全体を知りたいときは、建物状況調査を相談する
外壁だけでなく、基礎や室内なども含めて現在の状態を知りたい場合は、仲介会社に建物状況調査(インスペクション)を相談する方法があります。
宅地建物取引業法上の建物状況調査は、所定の講習を修了した建築士である既存住宅状況調査技術者が行うものです。
外装工事の見積もりのための点検と、同じものとは限りません。
また、調査を受ければ、隠れた不具合をすべて発見できるわけではありません。
国土交通省も、建物状況調査は瑕疵の有無を判定するものではないなど、その限界を案内しています。
報告書では、指摘された箇所だけでなく、見られなかった場所や調査の範囲も確認してください。
参考:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用に向けて」
雨漏りなど、特定の不安には追加調査を検討する
建物全体の状態を確認する調査と、雨漏りの原因を絞り込む調査では、目的が違います。
雨漏りの履歴がある、原因不明のシミがあるなどの場合は、その内容を伝え、追加調査が必要か相談しましょう。
追加調査をしても、条件によって原因が確定しない場合はあります。
購入前の家は、まだ売主さんの所有物です。
散水や一部を開ける調査などを希望する場合は、仲介会社を通して所有者の承諾を得て、実施範囲・費用・復旧方法を調整します。
「塗装済みだから修理費ゼロ」で購入予算を組まない
外壁のメンテナンスが済んでいれば、購入後に予定していた出費を減らせる可能性があります。
ただ、屋根やベランダの防水が未施工なら、そこは今後の計画に残ります。
外壁塗装をした年から、家全体の寿命やメンテナンス時期がリセットされるわけではありません。
購入前には、外まわりを次の3つに分けて考えるとわかりやすいです。
- 工事内容を確認できた部分:いつ、何を施工したか資料がある
- 今回工事をしていない部分:状態を確認し、今後の修理を検討する
- 状態がまだわからない部分:追加確認や調査の必要性を相談する
未施工でも、状態がよければすぐに工事する必要がない場合もあります。
反対に、塗装済みでも、別の不具合への対応が必要になる場合があります。
大事なのは、塗装の有無だけで予算を決めず、購入後に必要になりそうな工事とその時期を、確認できる範囲で把握することです。
修理が必要とわかった場合の費用負担や引き渡し条件は、仲介会社を通じて売主さんと相談し、契約内容を確認してください。「購入前に見つかったから必ず売主負担」とは決めつけないようにしましょう。
仲介会社へ、そのまま聞ける質問例
「細かいことを聞くと、面倒なお客さんだと思われないかな」と気になる方もいるかもしれません。
大きな買い物ですから、工事の内容を知りたいと伝えて構いません。
たとえば、次のように聞いてみてください。
”外壁がきれいなので、前向きに検討しています。
購入後の修理費も考えておきたいので、塗装の時期と、コーキング・外壁補修・屋根・ベランダ防水をどこまで行ったか教えていただけますか?工事明細や施工写真があれば、確認したいです。”
一度に答えが出なければ、売主さんや施工会社に確認してもらいましょう。
口頭で聞いた内容も、資料やメールなどで残しておくと、家族で検討しやすくなります。
よくあるご質問
外壁塗装済みの中古住宅は、避けたほうがよいですか?
いいえ。
適切にメンテナンスされていることは、購入を考えるうえでプラスです。
塗装されていることを疑うのではなく、施工時期や補修内容、未施工の部分を確認して判断しましょう。
塗装済みなら、あと10年は何もしなくて大丈夫ですか?
一律にはいえません。
材料や施工内容、もとの傷み、環境によって変わります。
塗装以外の部分には別のメンテナンスが必要になることもあります。
次回点検の目安や、今後注意したい箇所を確認してください。
施工写真がなければ、購入をやめたほうがよいですか?
写真がないことだけで決める必要はありません。
工事明細や売主への確認、現地調査などで得られる情報を整理しましょう。
重要な不明点が残る場合は、契約前に仲介会社や調査を行う専門家へ相談してください。
購入前でも、外壁修理の相談や見積もりはできますか?
相談はできます。
ただし、現地への立ち入りや調査には売主側との調整が必要です。
調査の範囲や費用、購入前に確認できることを、仲介会社と依頼先に相談しましょう。
きれいな外壁の、その先まで確認してから決めましょう
外観がきれいだと、「ここで暮らしたいな」と感じやすくなると思います。
その気持ちは大事にしながら、工事の中身も少しだけ確かめてみてください。
どこを直して、どこが残っているのか。
それがわかれば、安心できる材料も、購入後に備えておきたいことも見えてきます。
金沢市周辺で中古住宅を検討していて、外壁や屋根の状態が気になる方は、ホクリクルーフへご相談ください。
「外壁塗装済みと聞いていますが、屋根やコーキングも確認したほうがよいでしょうか」
そんな相談からで大丈夫です。
お手元の工事資料や気になる箇所をもとに、外装について確認したいことを一緒に整理します。
現地調査が必要な場合は、売主さん・仲介会社との調整状況を伺って進め方を相談します。
屋根や外壁、雨樋の不調は、早期発見・早期対処がコストを抑える鍵です。
金沢市・石川県を中心に対応しているホクリクルーフでは、
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