〜プロが教えるお役立ちコラム〜
セメントの割れ(ひび割れ)に対する最適な修繕方法は、ひびの大きさ、深さ、
場所(屋内外、床・壁・基礎など)、および原因(乾燥、地盤沈下、劣化など)によって異なります。
以下に一般的なケース別の修繕方法を示します。
小さな表面のひび割れ(ヘアクラック)
特徴:幅0.2mm以下、浅い、構造には影響しない。
対処法:
- セメント系フィラーや防水塗料で表面を埋める。
- 外壁などでは上塗り塗装で対応可能な場合もあります。
中程度のひび割れ(0.2〜1mm程度)
対処法:
- エポキシ樹脂の注入:構造体の補強も兼ねてひび割れに樹脂を圧入。
- シーリング材での充填:防水が目的の場合、ウレタンや変成シリコン系のシーリング材で埋める。
幅1mm以上のひび割れ・貫通ひび割れ
(構造クラックの可能性)
対処法:
- Uカットシール材充填工法:ひび割れの周囲をU字型にカットし、プライマーを塗ってシーリング材を充填。
- エポキシ樹脂低圧注入工法:構造クラックで構造補強が必要な場合に使われます。
- 必要に応じて鉄筋の腐食調査、構造補強も検討。
劣化による広範なひび割れや浮き
対処法:
- はつり(剥がし)→再左官・モルタル補修
- 必要に応じて部分的な打ち直しや外壁の張り替え
注意点
ひびの原因調査が重要:原因が分からないまま埋めても、再発することがあります。
構造に関わるひび割れは専門家に相談:特に基礎や構造体の場合は、建築士やリフォーム業者に確認を。
おすすめ補修材(DIY向け)
状況 | 補修材の例 |
---|---|
ヘアクラック | セメントフィラー、ひび割れ補修用パテ(セメダインなど) |
中程度 | ボンドEセット(コニシ)、エポキシ樹脂系補修材 |
大きなクラック | Uカット補修用シーリング材、建築用変成シリコンなど |
コーキング補修が「あり」なケース
状況 | 判断 |
---|---|
幅0.2mm以上の割れ・ヒビ | ◎ 有効な補修方法 |
水の侵入を防ぎたい | ◎ 防水効果あり |
動きのあるひび(伸縮する) | ◎ 弾性のあるシーリング材が有効 |
見た目だけを整えたい | ○ ただし耐久性は別途考慮 |
コーキング補修が「不向き」なケース
状況 | 理由 |
---|---|
幅0.2mm未満のヘアクラック | 材料が奥まで入らず、意味が薄い |
深い構造クラック(基礎など) | 表面だけの補修では根本解決にならない |
強度の回復が目的 | シーリング材は構造補強にはならない |
コーキング補修のポイント
種類 | 特徴 | 適所 |
---|---|---|
変成シリコン系 | 塗装可能、耐候性◎ | 外壁、屋外OK |
ウレタン系 | 弾性◎、密着力◎ | 外壁、基礎など |
シリコン系(100%) | 耐水性最強だが塗装不可 | 浴室・水回りのみ推奨 |
アクリル系 | 安価だが耐候性△ | 室内向き |
※屋外で使うなら「変成シリコン」「ポリウレタン系」がおすすめです
コーキング補修のメリット・デメリット
項目 | 内容 |
---|---|
✅ メリット | 手軽、安価、DIY可能、防水性あり、柔軟性で再割れ防止 |
❌ デメリット | 強度補修は不可、見た目はやや目立つ、劣化で再施工が必要(5〜10年) |
コーキング補修時のまとめ
「セメントの割れにコーキング補修は有効」だが、補強ではなく防水やひび封じが目的。
美観と防水ならOK
深い・広範囲なら構造補修と併用を検討
使用するシーリング材は目的と場所に合ったものを選ぶ
モルタルとセメントの違い
項目 | セメント | モルタル |
---|---|---|
構成材料 | 粉末のセメント単体 | セメント + 砂 + 水 |
性質 | 接着力・強度が高いが収縮しやすい | 作業性がよく、なめらかに塗れる |
用途 | コンクリートの材料・接着剤的用途 | 補修、左官、目地埋め、仕上げ材など |
見た目 | 灰色の粉体 | 砂が混じってざらっとした仕上がり |
ひび割れ | 起こりやすい(単体使用時) | 柔軟性がありひび割れにくい |
モルタルの耐水性
性質 | 説明 |
---|---|
耐水性 | 多少の水や湿気には耐えられる。雨や湿気で即崩れるようなことはない。 |
防水性 | ない。水を吸いやすい性質があり、放置すれば内部に水が浸透してしまう。 |
モルタルは多孔質(微細なすき間が多い)なため、水を徐々に吸い込んでしまう性質があります。
そのため、モルタル単体では長期的な防水はできません。
どのくらい水に強いのか?
状況 | モルタルの耐水性 |
---|---|
室内の湿気や軽い水滴 | ○ 問題ない |
雨が時々かかる屋外 | △ 水を吸って内部劣化の可能性あり |
常時水がかかる・水たまり | ❌ 長期間で劣化・ひび割れ・中性化のリスク |
耐水性を高める方法
1. 防水モルタルを使う
- ポリマー入りなどの改良モルタルで、耐水性+密着性が高い。
- 商品例:「スーパーモルタル」「防水型ポリマーセメントモルタル」など。
2. 防水塗装や撥水剤で仕上げる
- モルタルの上から以下の処理をすることで防水性を補強:
- 弾性防水塗料(アクリルウレタン、シリコンなど)
- 撥水剤(シラン・シロキサン系)
- 塗膜防水材(ウレタン防水など)
3. 仕上げ材(タイル・塗装)を併用
- 外壁などでは、モルタルの上に塗装やタイル仕上げをするのが一般的。
- これにより防水性と美観を両立できます。
モルタルが適している場面
(多くの補修に◎)
- 外壁の割れ、床の欠け、ブロックの埋め戻し
- 表面を整える・なだらかに塗る
- ある程度厚みのある補修(5mm〜数cm)
一般的な補修は「モルタル」を使えばOKです。
補修材を選ぶときの注意点
市販の「セメント補修材」と書かれているものは、多くが「モルタル系」や「樹脂入りセメントモルタル」です。
ポリマーセメントモルタル(接着性+防水性が高い)を選ぶと、耐久性や密着性がアップします。
結論:補修に向いているのは?
目的 | 推奨材料 |
---|---|
欠け・穴・割れの補修 | モルタル(補修用モルタル・樹脂入り) |
細かい目地・接着用途 | セメントペーストや専用接着材 |
防水・柔軟性も欲しい | ポリマーセメントモルタル |
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