〜プロが教えるお役立ちコラム〜

塗装工事における「下塗り・中塗り・上塗り」は、家を長持ちさせるための三段構え。
それぞれに明確な役割があり、どれが欠けても耐久性がガクッと落ちます。

① 下塗り（したぬり）＝密着と下地補強の層

目的：塗料をしっかり密着させる“接着剤”の役割。

外壁や屋根は、年月とともに劣化して粉を吹いたり（チョーキング）、細かいヒビが入ったりしています。
そのまま中塗り・上塗りをしても、すぐ剥がれてしまう。

下塗りには「シーラー」「フィラー」「プライマー」と呼ばれる種類があり、
素材（モルタル・サイディング・金属など）に応じて選定します。

イメージ：壁と塗料をしっかり“くっつける”ノリの層。

② 中塗り（なかぬり）＝塗膜の厚みと色づけの層

目的：塗膜の厚みを確保し、性能を発揮させる層。

塗料は一定の膜厚（まくあつ）がなければ、
メーカーが設計した「防水性」「耐候性」が発揮されません。
中塗りは上塗りと同じ塗料を使うことが多く、
厚みを確保して仕上がりをムラなくする役割があります。

イメージ：上塗りを支える“芯”の層。

③ 上塗り（うわぬり）＝美観と保護の層

目的：紫外線・雨・汚れから建物を守る最前線の層。

上塗りは外から見える部分。
色・艶・汚れにくさ・防水性能などを決定づける層で、
一番過酷な環境にさらされます。

イメージ：家の「鎧（よろい）」のような層。

もし1工程でも省くと…

• 下塗りを省く → 数年で剥がれ・膨れ・白化
• 中塗りを省く → 膜が薄くなり、耐久年数が半減
• 上塗りを省く → 色ムラ・紫外線劣化が早まる

まとめ

工程	役割	省いた時のリスク
下塗り	密着・下地補修	剥がれ・膨れ
中塗り	膜厚・耐久性確保	劣化・ムラ
上塗り	美観・防水・保護	色あせ・汚れ・防水低下

編集部からのひとこと

塗装工事の3工程は、ただの「手間」ではなく、家を守るための科学的プロセスです。
1回1回の塗りが、次の10年・15年を支える“防御の層”になります。
見た目よりも、下地づくりにどれだけ真剣な職人か――そこに、良い塗装会社を見分けるヒントがあります。

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